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#イノベーションコミュニティ
01
品川をイノベーション・テクノロジーの街へ。共創の芽を育むコミュニティ、SHINAGAWA HIVE始動!

品川をイノベーション・テクノロジーの街へ。
共創の芽を育むコミュニティ、
SHINAGAWA HIVE始動!

金谷 貴央
PROFILE
金谷 貴央
日鉄興和不動産株式会社
都市事業本部 エリアマネジメント部
グループリーダー
吉川 昇日
PROFILE
吉川 昇日
日鉄興和不動産株式会社
都市事業本部 エリアマネジメント部
エリアマネジメントグループ

品川から始まる共創─
SHINAGAWA HIVE誕生の背景

品川には多くのテック企業が集まっており、素晴らしい技術を有しているにもかかわらず、なかなか社外に届かない、実装できないといった悩みを抱える企業が少なくないといいます。

吉川(以下「吉」):
「そうしたテクノロジーを持っている企業だけでなく、最先端の技術は持っていないけれどせっかく品川に拠点を置いているのだから、テック企業と連携したいという声も聞こえてきました。両者がマッチングしたり、相互理解する場を私たちが作ることができれば、街のエリアブランディングにつながると考えたんです」

金谷(以下「金」):
「私たちとしては、品川エリアのエリアブランディングを図っていくことが大きな軸にあります。丸の内が金融系、渋谷がスタートアップ系というように、品川でも“イノベーション・テクノロジーの街”というブランディングができないかと考えていました」

品川という都市空間に共創の文化を宿そうという思いは、ハード中心だった都市開発の歴史とも重なります。

金:
「品川インターシティは1998年竣工で、もう25年以上が経っています。当時はまだ“まちづくり”という発想はあまり浸透していませんでした。駅前にビルを建ててオフィスが入ればよいという時代で、ハード面中心の考え方が主流でした」

吉:
「最近では“通過点”としての印象が強いという声も多く聞かれます。利便性があっても、街に滞在して関係性を築くような“居場所としての魅力”が希薄なのではないかと感じています」

金:
「2020年には、スタートアップ育成支援のためのインキュベーション施設『SPROUND』も開設しました。インターシティ25周年では『ビジネス街じゃ、終われない。』というメッセージを掲げ、品川を“つながる街”にしていこうという想いを表明しました。HIVEは、まさにその流れの延長線上にある取り組みなんです」

SHINAGAWA HIVEの構想を語る吉川さん
スタートアップ育成支援のためのインキュベーション施設『SPROUND』
スタートアップ育成支援のための
インキュベーション施設『SPROUND』
1998年の竣工から25年以上が経過した「品川インターシティ」
1998年の竣工から25年以上が経過した
「品川インターシティ」

共創を機能させるための場と設計

HIVEという名称には、品川の課題と未来への意志が重ねられています。

吉:
「“HIVE”は“ハチの巣”を意味し、異なる業種・業界のイノベーターが集まって知見や技術を共有し、“ハチミツ”のような成果を生み出していくイメージで名付けています。また、“HIVE”には活気にあふれた場所という意味もあるため、共創することで街の中から価値を生み出し、活気ある場にしていくという想いも込めています」

金:
「単なるギブアンドテイクではなく、それぞれが“自分ゴト”として関わっていくことが大事です。企業の枠を超えて、アイデアが連鎖し、イノベーションが生まれていく──そんな場を、私たちはHIVEを通じて実現したいと考えています」

すでに多様な企業が参加しているHIVE。テック企業だけではなく、自社の強みと技術を掛け合わせようとする異業種のプレイヤーも集まっています。

吉:
「テック企業の集合体という印象を持たれるかもしれませんが、自社事業とテックを掛け合わせたいという企業の方々にも参加いただいています。属性としては、新規事業やR&Dのご担当者の方が多いですね。大企業の中でもハブのような役割を担っている方々が参加されています」

金:
「テック企業でも“せっかく先進的な技術を持っているのに使い道がない”、“テクノロジーを形にしたいけれど実用性が乏しい”といった声は想像以上にあふれています。そうしたニーズを捉えた上で、HIVEがきっかけとなり、テクノロジーの社会実装につなげていければと考えています。ただ、私たちは“万全の支援をしよう”としているわけではありません。HIVEは会員個々が自ずとつながり合う、マッチングのきっかけをつくるコミュニティでありたいと考えています。“この技術を活用すれば、こういうイノベーションが生まれるのでは”といった気づきを与えることこそが、HIVEの大切な役割です」

SHINAGAWA HIVEの構想を語る金谷さん

品川から社会へ─都市文化としての共創へ

リアルとデジタルを融合した出会いの仕掛けを実践するHIVE。多様な企業同士をつなぐ場として、月1回の「How to make innovation」を設けています。

吉:
「会員の方にご登壇いただいて、それぞれのイノベーション事例を共有するイベントです。しかし、ただ聞いて終わり、という場にしないよう、運営側からも会員の関心を把握しながら、オーディエンス側にも質問を投げかけるなどして、双方向の議論が生まれるようにしています」

金:
「ナレッジの共有としての意義もありますが、実はその後に設けているネットワーキングこそが重要だと考えています。発表をきっかけに話しかけやすくなるよう、意識的に構成しています」

こうした“出会いのきっかけ”を補完するために導入されているのが、「Beatrust」という人材の関心、強み等を可視化できるタレントコラボレーションプラットフォームです。

吉:
「Beatrustでは、どの企業の誰がどんな技術を持ち、どんなことに関心があるのかが分かるようになっています。これによって、共通の関心を持つ人同士がつながりやすくなる。問いかけや情報収集もやりやすくなると期待しています」

金:
「例えば“AIに興味がある”人と、“AIに関する技術を持っている”人が、Beatrust上で出会える。それを通じて話しかけるきっかけが生まれたり、グループ化したりすることができるようになります」

HIVEの取り組みは、やがて街全体のカルチャー形成や、社会への波及を見据えたものとなっています。

金:
「東京だけでなく、地方の都市圏や小さな町が抱えている課題にも、HIVEで得た知見や技術を生かせるようにしたいと考えています。社会実装に向けた受け入れの幅を広げ、現場で“意味のある技術”を育てていければと思っています」

吉:
「発展像としては、HIVEの活動をコミュニティの中だけにとどめるのではなく、“品川でこういうことが起きている”ということをもっと外に発信していきたいと考えています。HIVEの公式メディアだけでなく、品川という街全体のイノベーションを伝えるようなメディア展開も検討しているところです」

金:
「日鉄興和不動産は、四半世紀前に品川インターシティというオフィスビルを創り、品川・港南口の発展のきっかけを作った企業としての責任と自負があり、HIVEについても大きな意義を感じています。テクノロジーという色を活用し、イノベーションを起こしていくエリアとしてこの品川のブランディングを図っていきたいと考えています。そうしたエリアを盛り上げ、ブランド化していくためのツールとして、企業の皆様にもHIVEを大いに活用していただきたいですね」

SHINAGAWA TECH SHOWCASE
SHINAGAWA TECH SHOWCASE
※品川インターシティにて過去3度開催された、未来をデザインするテクノロジー・先端技術に取り組む企業の展示&トークセッションイベント。