
空間とテクノロジーが化学反応を起こす場。
共創プラットフォーム「Mk_3」が描く未来!

CMIセンター
チーフプロデューサー
共創の拠点『Mk_3』が生まれた理由とは
“こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル”として、商業施設、文化施設、イベントなど、幅広い領域の空間づくりを手がけてきた丹青社。
その同社が“空間×テクノロジー”という新たなテーマを掲げ、共創の拠点として設立したのが『Mk_3』(港南ラボマークスリー)です。空間演出のテクノロジーと多様なクリエイター、パートナーとの協働を通じて、新たな価値創出を目指す場として構想された『Mk_3』。
その背景には、テクノロジーの進化とともに変化する空間体験の可能性に応えようとする、社内外のニーズがありました。
荒木:
「2015年に丹青社が品川シーズンテラスに移転してきた頃は、社内でも“空間×テクノロジー”に関わる活動がバラバラに存在していたんです。そうした動きを一つに束ねる目的でCMIセンターという組織が出来て、小さな実験室も用意されていたのですが、すぐに手狭に感じるようになりました」
当時、VRや映像技術、ICTを用いた演出など、テクノロジー活用の領域が広がるなか、それらを連携させ、より創造的に展開していくための“場”が必要だという課題意識が社内には強く存在していました。一方で、外部とのコラボレーションを推進するうえでは、物理的な制約も立ちはだかっていたそうです。
荒木:
「以前はもっと自由に外部の方と一緒にものづくりをしていたのですが、セキュリティに対する社会意識の向上などもあり、既存の空間ではそうした活動が難しくなってきたんです。それならば自前で“開かれた場所”をつくろうという想いが、『Mk_3』の出発点でした」
品川駅からほど近い港南エリアの一角、元物流倉庫をリノベーションした建物内に構築された『Mk_3』。実験と実証の両立を目指したこのスペースには、技術や手法の枠にとらわれず、アイデアを持ち寄り、試し、かたちにしていくための柔軟性が重視されています。丹青社が手がけてきた空間演出という専門領域に、新たなテクノロジーと人、そして多様な発想を掛け合わせるための“拠点づくり”が、ここから本格的に始まりました。

空間×テクノロジーを追求する
『Mk_3 LAB』と『Mk_3 STUDIO』
空間とテクノロジーの可能性を実験・検証できる場として、『Mk_3 LAB』(マークスリーラボ)と『Mk_3 STUDIO』(マークスリースタジオ)という2つのエリアから構成されている『Mk_3』。それぞれが異なる機能と役割を持ち、活動の幅を広げています。
荒木:
「当初は『Mk_3 LAB』のみでしたが、コロナ禍で社内外のセミナーや配信ニーズが一気に高まりました。そうしたタイミングでちょうど『Mk_3 LAB』の隣の部屋が空いたこともあり、『Mk_3 STUDIO』を新設することになったんです」
主に丹青社の社員とパートナーが協働しながら、空間に関わるテクノロジーの研究開発や実証実験を行っている『Mk_3 LAB』では、演出手法やコンテンツを空間と掛け合わせたさまざまなプロジェクトを展開。一方、『Mk_3 STUDIO』は、配信や収録といった用途にとどまらず、セミナーや展示イベントなど、リアルとバーチャルが融合する場として多目的に活用されています。一貫しているのは、変化に対応できる柔軟性と拡張性のある設計思想。施設全体のデザインコンセプトである“Match, Mismatch, Unmatch”にも、空間づくりに対する深い思想が込められています。
荒木:
「“Match, Mismatch, Unmatch”は、空間デザイナーが提案してくれた言葉です。人や企業、技術やツールなど、多様な要素が集うなかで、ぴったりと合うものもあれば、全く合わないものもある。けれど、正解は必ずしも1つではないし、意外なことや予想もしていなかったことが、社会に感動をもたらすこともあります。『Mk_3』は、そうした自由な発想と表現ができる場としていきたいという想いを持っています」



テクノロジーはあくまで手段–––
『Mk_3』から新たな価値を
数多くの企業やクリエイターとの共創プロジェクトが生まれている『Mk_3』。印象的な事例のひとつが、映像とセンサー技術を掛け合わせた体験型演出です。
荒木:
「プロジェクターを使って空間全体に映像を映したり、人が空間に入るとセンサーで反応して演出が変わったり。例えば来場者の属性によって表示内容が変わるような仕組みもあります。空間そのものがインタラクティブになる体験ですね」
空間が情報を一方的に伝える場ではなく、来訪者の動きや状態に応じて応答する“能動的な体験の場”へと変化していく––。そうした演出を実際に試しながら検証できることが『Mk_3』の大きな魅力です。また、『Mk_3』は丹青社社内で開催している“超文化祭”の舞台にもなる場所。このイベントも、テクノロジーとアイデアの融合の場として荒木さんが期待を寄せる催しです。
荒木:
「“超文化祭”は、丹青社の若手メンバーを中心に“やってみたい”と思うアイデアをかたちにする企画です。技術に関わる人々はどうしてもテクノロジー先行で考えがちですが、テクノロジーを用いることは目的ではなく、あくまで手段。そこに意味を与える“テーマ”こそ重要であると、私たちは考えています。“超文化祭”というイベントでは、そうしたテーマを大切にしながら、自由な発想のもとで空間とテクノロジーの可能性を探っています」
港南には、新しい文化や
価値観が育つ土壌がある
あらためて、品川・港南エリアという地に『Mk_3』を構えた意義を尋ねました。
荒木:
「この港南エリアには、大学や小学校、タワーマンションやオフィスなど、さまざまな要素が混在しています。でも、多くの人が“点と点”を行き来するだけで、意外と交わっていない。だからこそ、そこをクロスマッチさせる仕掛けができれば、すごく面白いと思っているんです。異なるコミュニティが交わることで、そこには新しい価値が生まれるもの。『Mk_3』が、そうしたコミュニティの交差点のような場になればと思っています」
いわゆる“伝統的な街”ではないからこそ、新しい文化や価値観を育てていく土壌がある。それが、荒木さんが港南に可能性を感じている理由の一つです。
荒木:
「この街で、“空間×テクノロジー”というテーマに注目が集まり、いろんな人が関わってくれるようになったら嬉しいですね。企業やイノベーターの方々からの面白い提案や問いかけにも、どんどん応えていきたいと思っています」
港南発、“未完成”を力に変える実験場––『Mk_3』は、これからも共創の種を生み出し続けていくことでしょう。


